微笑み

今日の海は青く、久しぶりにほほ笑んでくれた。


何かやさしさを感じる。空が青いとこんなにも海が青い。


偶然なのか、今日の気分と海の色は同じ。 でもこんな顔を見せてくれるのはつかの間、何日かすればまた鉛色の空の下で牙をむくだろう。


“ロレンツォ豪華王”と称されたロレンツォ・イル・マニフィコ。“イル・マニフィコ”とは偉大、豪華という意味で、フィレンツェ人は彼のことをそう呼んだらしい。
決して美男ではなかったが、人を惹きつける魅力があったという。
祖父や父が四十代で当主なったのに対し、ロレンツォは弱冠二十歳でメディチ家の当主を受け継いだのであった。