あじわら散策

あじわらとは、我が町を流れる味原川(あじわらがわ)のわきの散歩道のこと。
“味原川周辺の景観形成プロジェクト”のため、自分が子供の頃とはかなり様変わりしてしまった。
子供の頃、この周辺で毎日のようにザリガニ捕りをしていたものだ。
川底は掘り起こされ、コンクリート詰めにされ、わきにある歩道もコンクリートできれいに整備されてしまった。
左側はスーパーになっているが、むかしは田んぼだった…。
あの頃は、フナやカワニナやザリガニなどがたくさんいた。水草のカナダモがたくさん生えてて。
時にはナマズやウナギさえいた。
小学校の6年生の時だったか、まえに見えてる橋の下で巨大なナマズがいるのを発見し網ですくおうとした時、瞬時に泥をまきあげて逃げて、前方で水面の上にバシャッと一度跳ね上がったのを今でも印象深くおぼえている。子供の目だったからかもしれないけど、おそろしいほどに巨大であった。



この辺も、よくタモ網を持って走り回っていたものだ。子供の頃の記憶がよみがえってくる。
左側の石垣は当時から変わっていない。
どこか遠く、明治、江戸のにおいがただよってくる。


この石垣と住宅もあの頃と変わっていない。
変わったのは川底と川の水量と歩道。それに、自分の心。あの頃の歩道は、コンクリートではなく土であぜ道のようだった。




ここの石垣も子供の頃当時のまま。でも、石垣の上の白い塀はなかったように思う。
この川沿い、どうしてこう重苦しい雰囲気の石垣が続いているのか、その経緯を知りたい。
生まれ育った街だけど、なにか湿っぽくて、重苦しくて、あまり好きじゃなかった。


ここに風情あるりっぱな橋が架けられているけど、むかしは人がひとり通れる手すりのない橋が架かってて。
川はもっと水深があって、ところどころ深みがあって子供の目から見ると恐かった。


そしてこれが僕がよく通っている街の図書館。このあじわら小径の横にある。加藤文太郎記念図書館という。
自分の街のことなのに、はじめは加藤文太郎という人がどんな人なのか知らなかった。
登山家の間では有名で、日本の登山家の先駆けとなった人で、あの(故)植村直巳もこの人に憧れて登山家になったらしい。
そんなことを知ったのはごく最近のこと。しかしどのくらい有名なのかはまったくわからない。


はじめてこの図書館に来たのはいつだったか…。
もう10年近くなるかなあ…。
この図書館に来てなければ、歴史が趣味になることはなかったかもしれない。あの時この図書館で何を読んでいたのか。平安京物語…。古都京都…。平家巡礼…。


はじめはごくたまにしか足を運ばなかった。あの時から急に足を運ぶ回数が増えて…。



浜坂の港はむかしはこの味原川の河口であったらしい。
生活排水が流れ込んで、この河口付近はヘドロの生臭い匂いがただよっているからこの辺はあまり好きじゃない。
6年前の台風23号の時は、この周辺はすべて湖のようになってしまい、小舟はとんでもないところまで漂流し、遠い遠い田んぼの真ん中に打ち上げられ…。そのせいか、こうやってロープにつながれて固定されている。


日が暮れてから、港に行ってみた。まだすこし日が残っている。


冬型の天候が続くせいで漁に出られないのか、ひっそりと。またあした、何か発見があれば…。