魚はとくに好き。
子供の頃から海の近くで育ったせいもあるからかもしれない。
いつも潮の香りと加工場で焼く焼き魚の匂いが漂っていたような気がする。
まぐろ…。
まぐろは日本では最も親しまれている魚なのかもしれない。
でも自分にとってはよそ者になってしまう。
食べると確かにおいしい。でも何か足りない。
きれい過ぎる。くせがなくて。味も、見た目も。
ほっけ…。
おいしいと言えばおいしい。
でも北方の魚独特のどぶ臭さがある。たらにしても同じ。
これもよそ者になってしまう。
自分にとってはやはりこの周辺の海で捕れた魚が好き。
あの特有の生臭さが。

ペスト。
またの名を黒死病と言う。ペストはイタリアでは八世紀以来絶滅していたが、一三四七年十月に再び現れてイタリア半島を襲い、その後、全ヨーロッパに広まった。
ペストは十八世紀まで周期的に流行した。
一五七五年〜七七年の流行ではヴェネツィアの人口の三十パーセントが死んだという。
現在より医療水準の低い当時は病院は恰好の感染源となった。
別荘に籠るのもひとつの予防対策だったようであるが、なかなか感染に歯止めがかからなかったようだ。